第325回 平成26年6月18日
(第207回 遺伝子機能解析部門セミナー)

演題 昆虫がpHと水分を調節するしくみ
 東 政明 氏(鳥取大学農学部)
 
 陸上生物にとってみずみずしさや潤いの維持は生命活動の根幹である。昆虫は開放血管系であることから,小さな体内の僅かな血液に組織が直接浸った状態にあり,そこで輸送機構(ポンプ・キャリヤー・チャネル)が駆動している。ポンプ(能動輸送)は,H+, K+, Na+, Cl-等のイオンをダイナミックに移動させるが,その背後には細胞内外で常に水分子が動く。いわゆる浸透圧調節である。上皮細胞の単層が内外を隔てる単純な組み立ての下,pHおよび水分調節に関わる方向性のある輸送機能について,昆虫細胞での研究を紹介する。(講師記)