第322回 平成26年1月24日
(第204回 遺伝子機能解析部門セミナー)

演題 生体を酸素毒から護る:フリーラジカル消去薬エダラボンからコエンザイムQ10まで
 山本順寛 (東京工科大学 教授 日本コエンザイムQ協会、会長)
 
 酸化ストレスが生活習慣病やがんなどの発症の一因であり,老化の進行にも深く関わるとされている.その過程を化学反応レベルで理解し,どのような抗酸化物質が役立つのかについて研究を進めている.世界初のフリーラジカル消去薬であり脳梗塞時の第一選択薬となったエダラボンの開発物語や横浜野毛山動物園の世界最長寿ラクダの健康に寄与しているコエンザイムQ10について解りやすく解説する.コエンザイムQ10は1957年に発見されたが,ミトコンドリアでのATP産生に不可欠であり,体中のあらゆる場所にあって,ビタミンEやCなどともに重要な抗酸化物質として働いている.加齢とともに細胞から失われること,また体内にもともとある物質なので副作用がないことから,健康寿命を延長させる上で役立つことが期待されている.その輸送を担うタンパク質についても議論する.(演者記)