第281回 平成21年9月24日
(第168回 遺伝子機能解析分野セミナー)

演題 X線結晶構造解析によるタンパク質機能の解明
   三上文三(京都大学大学院)
 
 X線結晶構造解析はタンパク質の構造を決定する手段であるのみではなく、タンパク質の機能を研究する重要な手段の一つになっている。結晶中でのタンパク質の挙動は溶液中とは異なり結晶格子による制限があるが、結晶化条件を選択することによって、タンパク質の機能に必要な機能部位の構造変化を結晶内で再現し、可視化することが可能となる。具体的にはタンパク質のドメインの動きや機能性ループの構造変化を捉えることができる。また、1Å以上の高分解能での構造解析によってタンパク質中での水素原子の位置を決定し、水素結合を正確に同定することも可能となる。X線結晶構造解析を用いた食品タンパク質および食糧関連酵素の機能解析の例として、オボアルブミン、オボトランスフェリン、ダイズタンパク質、β‐アミラーゼおよびプロテイングルタミナーゼ等について紹介する。尚、本講演の一部ではタンパク質の構造を分かりやすく説明するために3Dプロジェクターを用いる予定である。