本研究では,供試化合物のアゴニストおよびアンタゴニスト作用を判別できるレポーター遺伝子系(ヒト乳がん細胞MDA-MB-453-kb2)を用いてSPEED'98掲載化合物およびその関連化合物のアンドロゲン受容体(AR)かく乱活性(ARアゴニストおよびアンタゴニスト活性)を評価した.その結果,ARアンタゴニスト作用のみを示した化合物,低濃度でアンタゴニストおよび高濃度でアゴニスト作用を示した化合物シリーズ,アゴニスト作用のみを示す化合物群が見出された.ARアンタゴニスト作用を示した化合物群それぞれについて,得られたアンタゴニスト活性の三次元構造活性相関解析,CoMFAを行い,活性発現に必要な構造を解明するとともに,アゴニストおよびアンタゴニスト構造の差異について知見を得た.これらの知見は,X線結晶解析から得られたAR-リガンド複合体の情報と矛盾しないものであった.
これは,名城大学,田村廣人先生との共同研究である.(演者記)