平成14年11月に実施された第2回目の糖尿病実態調査では、糖尿病が強く疑われる人が約740万人、可能性を否定できない人を含めると約1,620万人と推計され、平成9年の実態調査から約250万人増加しており、国民の健康上の深刻な問題となっている。これらの調査はヘモグロビンA1cの値を元にしているが、実際糖尿病の治療を受けている人は、糖尿病が強く疑われる人の50,6%程度である。糖尿病の怖いところは、自覚症状が無いことが多く、知らない間に合併症(神経障害、網膜症、腎症、足壊疽など)になっているケースも少なくないことである。
今回では、糖尿病と肥満との関連も含めて、予防(東洋医学では未病を防ぐ)がいかに重要かを皆様と考えていくとともに、予防に対する機能性食品の重要性も議論していきたいと思います。
Ⅰ 桑葉の機能成分
- DNJ:特徴的アルカロイド,自然界で唯一多量に含有。αグルコシダーゼを阻害、血糖降下作用が期待。HIVウイルスのgp120糖鎖の生合成を阻害,抗HIV作用がある。
- ファゴミン:DNJと類似の構造を持つアルカロイド。インスリンの分泌促進作用、唾液分泌促進作用がある。
- イソクエルシトリン、アストラガリンなどのフラボノイド:イソクエルシトリンは、腸内細菌のβ―グルコシダーゼの作用でケルセチンに分解され腸管より吸収。ケルセチンは、血清脂質低下作用や抗酸化作用がある。フラボノイド代謝物は、脂質代謝を改善。
- マルベロフランU、モラシンM:強い低血糖作用を示す。桑白皮含まれる類似化合物のマルベロフランC、F,Gは血圧降下作用を、モラシンは発癌プロモーター抑制作用、抗菌作用あり。
- ダイエット効果: 329名を対象とした調査で、ダイエット効果を確認。
- 抗糖尿病効果:2型糖尿病の12例を対象として行った臨床研究で、食後高血糖およびHbA1cを抑制。
- 桑葉配合食品の効果:高濃度の桑茶エキスにプロポリスを配合した桑ポリスでは、糖吸収抑制作用だけでなく、プロポリスの免疫増強作用、すい臓のβ細胞保護効果、肝臓保護作用が期待できる。臨床研究の結果、血糖降下作用、肝臓機能改善作用、インスリン値では低い場合は上昇させ、高すぎる場合は減少させる調整作用がある。