第149回 平成10年3月6日
(第43回 遺伝子実験施設セミナー)

演題 分裂酵母における接合と減数分裂の制御機構
   飯野雄一(東京大学大学院理学研究科)
 
 分裂酵母は栄養源飢餓に呼応して、増殖過程から接合、減数分裂、胞子形成といった生殖過程に移行する。この飢餓シグナルおよび接合因子のシグナルはcAMP系、ras、MAPキナーゼ系などの複数のシグナル伝達系の共同作業により細胞内で伝達されることが明らかになってきた。
 また、減数分裂の開始に関しては上記のシグナル伝達系の下流で働くRNA結合蛋白質のリン酸化による制御や核移行が重要な決定因子であることが分かってきた。一方、減数分裂の進行には細胞周期制御因子と減数分裂特異的因子との機能分担が重要である。これらの点に関し、われわれの研究を中心として現在までに得られている知見をかいつまんで紹介する。(演者記)