第129回 平成9年2月7日

演題 今、なぜ蜘蛛の糸が面白いのか
   大﨑茂芳(島根大学教育学部
 
 芥川龍之介などの"蜘蛛の糸"に代表される蜘蛛は、我々の生活の身近にいるが、気味悪い動物の代表的なものとして知られている。蜘蛛の研究の主流は未だに分類学であるが、演者は、20年間にわたる趣味による蜘蛛の糸の熱的、光学的、劣化等の物理化学的性質を明らかにしてきた。最近では、蜘蛛糸の力学的性質から身近な素材の安全率を議論するレベルまでこぎ着けた。これまでの結果は、我々が自然界の神秘的な現象から学ぶことが大であることを示唆している。ここでは、蜘蛛の研究にまつわる苦労話や蜘蛛糸の性質がわかるとなぜ面白いのかについて述べる(演者記)。

 今回の講演はNtrure志昨年12月5日号に掲載された世界的な評価を受けた内容を含むものです。