第128回 平成8年12月13日
(第25回 遺伝子実験施設セミナー)

演題 細胞接着による細胞周期の制御及び細胞骨格形成のメカニズム
   木岡紀幸(京都大学農学部)
 
 細胞が他の細胞や細胞外マトリクスと接着することにより、単に物理的な結合以外に細胞骨格の再構成、MAPキナーゼの活性化、細胞の増殖分化、アポトーシスの制御など様々な現象を引き起こす。木岡博士らが単離した抗インテグリンbeta1抗体、12G10は細胞接着分子インテグリンbeta1を刺激し、接着を促進する(活性化抗体)。この抗体の処理により、細胞の生育が抑制され、G0/G1期に停止し、p27kip1の発現量が上昇することが分かった。このことはインテグリンの活性化がp27を介して細胞周期を制御している可能性を示している。また、細胞骨格タンパク質ビンキュリンに関する話も紹介していただきます。これらの研究成果はNIHのK.Akiyama博士のもとで行われた最新の研究です。